06

「見ーちゃった」

くすくすと鈴を転がす様な笑い声が後方から響く。
「んだよ、見てんなよ」
朝比奈は居心地悪そうに頭を乱雑に掻いた。
「まぁ、士郎のデリカシーのなさは生まれつきだからしょうがないんじゃない?」
「うるせ」

意地を張っても仕方がないのだが、如何せん相手の言い分が図星ストライクで何も言い 返せず口を噤んでしまう。
「明日からは精精気を付けることだね」
「はいはい」
軽く受け流し帰路に着く。
「さっさと帰ろ。虚しいし」
溜息を吐き捨てて歩き出す朝比奈。
「あ、あたしも帰る」
隣に付いた美姫も同じように歩き出す。



運命の輪がくるりくるりと廻り出す。
一陣の風が吹いて、桜の花弁が情景を彩った。





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